#03 基礎論

発見・発展・発信。地域価値学の三つのプロセス

佐藤かつあき
この記事の3つのポイント
  • 発見は誰にでもできる。再発見と新発見がある
  • 発展は磨くこと。僕は「再解釈」を意識している
  • 発信は、流れていくものより、時間をいただけるもの。新聞、ラジオ、読み物

地域の価値を上げるには、どう動けばいいのか。いろんな現場や事例を見てきて、僕なりに整理してみた。まだ仮説だけれど、三つの段階で考えている。発見、発展、発信だ。

まず発見。これは、わりと誰にでもできる。「これ、いいな」と思うものを取り出す作業だ。発見には二つあると思っていて、ひとつは再発見。昔はそれなりに話題になっていたのに、最近は廃れてしまったものを、もう一度見つけること。もうひとつは新発見。まだ自分しか気づいていないものを見つけることだ。どちらがいいという話ではない。

次に発展。要するに、磨くことだ。前に「見つけたときが底値」と書いたけれど、そこから価値を上げていくのがこの段階になる。ただ、「磨く」と言うと、ちょっとわかりにくい。僕が意識しているのは、再解釈だ。これまで「こういうものだ」と思われてきたものを、自分なりに読み直す。そうすると、同じものが違う価値を持ちはじめる。デザイナーのような人たちが得意なところだと思う。

最後に発信。いまはインスタグラムやTikTokで、おいしいお店やきれいな風景を紹介してくれる人たちがいる。地域やお店にとっては、本当にありがたい存在だ。そこはまったく否定しない。ただ、そこには発見と発信はあるけれど、発展がないなと思っている。たくさんの動画を作り続けなきゃいけない仕事だから、一つの地域や一軒のお店に腰を据えて磨く、というわけにはいかない。それは仕方のないことだ。発展の部分を地元の人間が担うことが基本だ。

SNSで一気に話題になるのは、もちろんすごいことだ。でも、流れていってしまう。1週間、2週間もすれば、もう見られなくなる。地域の価値で言えば、急に上がっても、それほど意味はないと僕は思う。じわじわと右肩上がりに上げていきたい。ここも株価と似ているのかもしれない。

じゃあ、長く効く発信とは何か。僕が大事にしたいのは、新聞やラジオ、それから印刷された読み物だ。紙に残るもの、音で残るもの。とくに耳で聞くものは、なかなか飛ばせない。聞く人の時間を、しっかりいただける。読み物も同じで、読む人の時間をいただくものだ。もちろん、SNSやインターネットも手段のひとつとして使う。

大事なのは、一回きりで終わらせないことだ。発展のところで磨き続けながら、いろんな角度から取り上げてもらったり、自分たちで伝えたりする。それを、時間をかけて丁寧に続けていく。

この論考も、読み物のひとつだ。いま、あなたの時間を少しいただいている。そのぶん、じわじわ効くものを書きたいと思う。